7月, 2013年

1号買換えについて教えてください

 

事業用資産の買換えの特例とは、個人事業の用に供している特定の地域内にある土地建物等を譲渡した後、一定期間内に特定の地域内にある土地建物等を取得し、取得後1年以内にその購入した資産を事業の用に供した際に、譲渡した資産の譲渡益のうち一部分の税金を繰延べすることが可能という制度です。この特例は現在10の規定があります(譲渡する資産と購入する資産の組み合わせ)。この特例が適用されるには、譲渡する資産と購入する資産が次の条件に当てはまることが必要です。ちなみに既成市街地等とは、首都圏装備法第2条第3項に定められる既成市街地、近畿圏整備法第2条第3項に定められる規制都市区域、首都圏や近畿圏および中部圏の近郊整備地帯等の整備のための国の財政上の特別措置に関しての法律施行令別表に掲げる区域のことを指しています。
・譲渡する資産
既成市街地等内にある事務所や事業所として使われている建物またはその敷地の土地
除等とした都市の1月1日現在で所有期間が10年を超過するもの
・購入する資産
既成市街地等外にある事業用の土地等や建物、構築物、機械装置
譲渡や購入した土地がどの既成市街地等に当てはまるかの判断については、その土地等を譲渡したときまたは取得したときの現状によるものとなっています。よって、1号買換えが適用されるには譲渡および購入の前に当該資産の所在する各市町村へどの地域に当てはまるかの確認が大切です。また、取得した際に既成市街地外でその後既成市街地内に取り込まれたときにも適用は可能です。課税の対象となる譲渡所得の計算については以下を参照してください。
・売却代金以上の事業用資産を購入したとき
1.収入金額 売却金額×20%
2.必要経費 (売却した資産の購入代金+譲渡にかかる費用)×20%
3.譲渡所得の金額 1-2が税金の対象
・売却代金未満の事業用資産を購入したとき
1.収入金額 (売却金額-買換資産の購入代金)+買換資産の購入代金×20%
2.必要経費 (売却した資産の購入代金+譲渡にかかる費用)×上記÷1の売却金額
3.譲渡所得の金額 1-2が税金の対象

9号買換えの特例とは何ですか?

 

事業用の買換えの特例とは、事業用資産を売却した際の譲渡益について将来に課税を繰り延べるものです。その中でも何でも買換えと呼ばれる9号買換え(旧16号買換え)は非常に使い勝手のよいもので、国内で10年超所有している事業用資産を売却して新たに国内の事業用資産を購入すれば適用がうけられるものでした。ただし現在、買換資産の範囲は次のように改められています(平成24年税制改正)。

【譲渡資産】
・改正前:国内にある土地等、建物または構築物で個人により取得がされたこれらの資産のうちその譲渡の日の属する年の1月1日において所有期間が10年を超えるもの
・改正後:上記と同じ
【買換資産】
・改正前:国内にある土地等、建物、構築物または機械および装置
・改正後:国内にある土地等(特定施設と呼ばれる事務所や事業所その他の政令で定める施設)の敷地用のために供されるもの(特定施設にかかる事業の遂行に要する駐車場のために供されるものを含む)または駐車場のために供されるもの(建物または構築物の敷地のために供されていないことについて政令で規定するやむを得ないわけがあるものに限る)でその面積が300㎡以上のもの、建物、構築物または機械および装置
また、税制改正によって土地等を買換資産とする際には次の要件が必要となります。
・面積要件
面積が300㎡以上のものに限る
・特定施設の敷地であること
駐車場の際にはその駐車場を管理する事務所などの建物等が存在しなければ原則的に買換資産とは認められませんが、都市計画法などの一定の規定によって建物が建てることが不可能なやむを得ない事由があるときには認められます。ただし、この特例の適用期限は平成26年12月31日までとなっているので注意してください。

軽減税率の特例について教えてください

 

軽減税率の特例が適用されるには以下のすべてに当てはまらなければなりません。
・国内にある自分が住んでいる家屋を売る、または家屋とともにその敷地を売却すること(ただし、以前に住んでいた際には住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに、家屋が災害によって滅失した際にはその敷地を住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに売却すること)。
・売却した年の1月1日において家屋や敷地の所有期間がともに10年を超えていること、また売却した年の前年および前々年にこの特例をうけていないこと。
・売却した家屋や敷地についてマイホームの買換えや交換の特例などほかの特例をうけていないこと(ただし、3000万円の特別控除の特例と軽減税率の特例は併用が可能です)。
・配偶者や直系血族、同一生計親族、内縁関係にある人など特殊な関係にある者に対する譲渡でないこと。
また、譲渡所得金額のうち6000万円以下の部分が軽減の際には所得税10%・住民税4%、6000万円超の部分は原則的に所得税15%・住民税5%となっています。
確定申告書には以下の3つの書類を添付しなければなりません。
・土地・建物用の譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)
・売却した居住用家屋やその敷地の登記事項証明書
・売却した日から2か月経った後に交付をうけた除票住民票の写し又は住民票の写し

マイホームを売却した年に買換えができなかった場合はどうしたらいいですか?

 

特例の手続きを適用するには、取得する予定の買換資産についての取得予定年月日および取得価額の見積額などを記した買換資産の明細書を確定申告書に添付しなければなりません。
・譲渡所得はこの取得価額の見積額に基づいて計算します
・実際に取得した際には取得資産の購入代金の支払い明細などを出して精算します
・実際に取得した額が見積額と違って譲渡所得の税金に変動を発生させた場合に、購入した金額が見積額より大きい、つまり税額が減少する際には購入日から4か月以内の更生の請求を、購入した金額が見積額より少ない、つまり税額が増加する際には、売った年の翌年の12月31日から4か月以内に修正申告をしなければなりません。

所有者が異なる際の特例の適用要件が分かりません

 

所有者が異なる際の特例の適用要件は次のようになっているので確認してください。ただし、一定の要件について満たしていることは絶対条件です。
譲渡資産については以下のようになっています。
・譲渡敷地の所有者の譲渡家屋における居住期間が10年以上であること
・譲渡敷地は譲渡家屋とともに譲渡されているものであること
・譲渡家屋はその譲渡時に当該家屋の所有者が譲渡敷地の所有者とともにその居住の用に供している家屋(当該家屋がその所有者の居住の用に供されなくなった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に譲渡されたものである際には、その居住の用に供されなくなったときの直前にこれらの者がその居住の用に供していた家屋)であること
買換え資産については以下のようになっています。
・これらの者が得た資産はその居住の用に供する一の家屋または当該家屋とともに取得した当該家屋の敷地の用に供する一の土地等で国内にあるものであること
・家屋または土地等はこれらの者のそれぞれが、おおむねその者の譲渡にかかる譲渡収入金額(当該家屋の取得価額または当該家屋および土地等の取得価額の合計額が譲渡家屋および日譲渡敷地の譲渡収入金額の合計額を超過する際には、それぞれの者にかかる譲渡収入金額に当該超える金額のうちその者が支出した額を加算した金額)の割合に応じて、その全部または一部を取得しているものであること。
・当該取得した家屋または土地等は買換え資産の取得期間中に得たものであること
・当該取得した家屋は、買換え資産をその居住の用に供すべき期間中に譲渡家屋の所有者が譲渡敷地の所有者とともにその居住の用に供しているものであること
所有者については以下のようになっています。
・譲渡家屋の所有者と譲渡敷地の所有者とは、譲渡家屋および譲渡敷地の譲渡時(当該家屋がその所有者の居住の用に供されなくなった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に譲渡されたものである際にはその居住の用に供されなくなったとき)から買換え資産をその居住の用に供するべき期間を経るまでの間に親族関係を有し、また生計を一にしていること

マイホーム買換えの際の取扱いが分かりません

 

マイホームの買換えとは、自分が住んでいる家屋を売却する、または家屋と共にその敷地や借地権を売却して新しくマイホームを買うことを指します。このとき売却資産については以下の要件が必要です。
・日本国内に所在するマイホームであること
・売却代金が1.5億円以下であること
・売った人の移住期間が10年以上、且つ打った年の1月1日において売った家屋やその敷地の所有期間が共に10年を超過するものであること
また、買換え資産については以下の要件が必要です。
・日本国内に所在するマイホームであること
・買い換える建物の床面積が50㎡以上のもの、且つ買い換える土地の面積が500㎡以下のものであること
・マイホームを売却した年の前年から翌年までの3年間でマイホームを買い換えること
・買い換えたマイホームには一定期限までに住むこと(買い換えたマイホームを住まいとして使い始める期限は、売った年かその前年に取得した際には売った年の翌年12月31日まで、売った年の翌年に取得した際には取得した年の翌年12月31日までとなっている)
・買い換えるマイホームが耐火建築物の中古住宅であるときには、取得の日以前25年以内に建てられたものであること
ただし、耐火建築物以外の中古住宅および平成17年4月1日以後に取得する耐火建築物である中古住宅のうち、一定の耐震基準を満たすものに対して建築年数の制限は存在しません。また、この特例をうけるためには譲渡所得の金額が0円になるときでも一定の書類を添付して確定申告書を出さなければなりません。
住宅ローン控除の対象となる住宅をその移住の用に供した年の前年・前々年またはその移住の用に供した年やその翌年、翌々年において、居住用財産の買換えの特例の適用を受けている、または受ける際には、その居住の用に供した年以後の各年分の所得税については住宅ローン控除の適用をうけることは不可能なのでしっかりと検討しましょう。

マイホーム売却時の所得金額の計算について教えてください

 

マイホームを売却した際の譲渡所得金額は、取得費と譲渡所得を合わせたものを譲渡価額から差し引き、そこから3000万円の特別控除を差し引いて算出します。ただし、マイホームではなくほかの不動産(賃貸用のマンション)を売却したときにはこの3000万円の控除はされません。よって、税務上でマイホームを売却したときの詳細が以下のように定められているのですべて満たしているか確認してください。また、この特例を適用するには一定の書類を添えて確定申告しなければなりません。

■マイホームを売却するとは、自分が住んでいる家屋を売却するか、家屋とともにその敷地や借地権を売却することを指し、原則的に所有期間の長短は関係しません。また、次のような家屋を売却してもこのマイホームには当てはまりません。
・この特例をうけることだけを目的に入居したと認められる家屋
・居住用家屋を新築する期間内だけ仮住まいとして使用した家屋、その他一時的な目的で入居したと認められる家屋
・別荘などのように主に趣味や娯楽または保養のために有している家屋

■単身赴任、転地療養などによってほかの場所に住んでいる際でも、配偶者等が引き続きその家屋に住んでいて、その人の単身赴任等の事情が解決した場合で、配偶者等とともに再びその家屋に住むことが予定されているときには、その人にとっても居住用家屋として取り扱われマイホームに当てはまります。また、以前に住んでいた家屋や家屋と共にその敷地等を売却する際には、住まなくなったその日から3年目の年の12月31日までに売却しなければなりません。住んでいた家屋または住まなくなった家屋を取壊してその敷地を売却する場合には、以下の要件をどちらも満たさなければなりません。
・その敷地の譲渡契約が家屋を取り壊した日から1年以内に結ばれ、且つ住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに売却すること
・家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日までその敷地をその他の用(貸駐車場など)に供していないこと

■災害によって家屋が滅失している際には、その敷地を住まなくなった日から3年目の年の12月31日まで(東日本大震災によって滅失した家屋の際には災害があった日から7年を経過する日の属する年の12月31日までとなっています)に売却すること

■売手と買手の関係が親子や夫婦などであり、特別なもの(親から子、夫から妻、社長から社長の会社等)でないこと

■売却した年の前年および前々年にこの特例またはマイホームの買換えやマイホーム交換の特例、またはマイホームの譲渡損失についての損益通算および繰越控除の特例の適用がなされていないこと

■売却した家屋や敷地は収用等の際の特別控除などほかの特例の適用がなされていないこと

固定資産の交換の特例について教えてください

 

固定資産の特例とは、個人が固定資産(土地や建物など)を同種類の固定資産と交換した際に譲渡をなかったものとするものです。しかし、この特例をうけることが可能な際にも、交換に伴い相手側から金銭などの交換差金を受け取った場合はその交換差金が所得税の課税対象となります。特例の適用には以下のすべての条件が満たされなければなりません。
1.交換譲渡資産と交換取得資産のどちらも固定資産であること。不動産業者などが販売のために有している土地などの資産は特例の対象になりません(棚卸資産となる)。
2.交換譲渡資産と交換取得資産は、どちらも同一種類の資産であること(土地と土地、建物と建物のように)。この際には、土地に借地権が含まれ、建物には建物に付属する設備および構築物が含まれます。
3.交換譲渡資産と交換取得資産はそれぞれの所有者が1年以上有していたものであること。
4.交換取得資産は交換の相手が交換のために得たものではないこと。
5.交換取得資産を交換譲渡資産の交換直前の用途と同様の用途に使うこと。同様の用途に供したかどうかはその資産の種類に応じて、おおむね以下の区分で判断します。
・土地にあっては、宅地、田畑、鉱泉地、池沼、山林、牧場または原野、その他の区分
・建物にあっては、移住の用、店舗または事務所の用、工場の用、倉庫の用、その他の用の区分
6.交換譲渡資産の時価と交換取得資産の時価の差額がこれらの時価のうちいずれか高い方の価額の20%以内であること。なお、20%を超過する際にはこの特例は適用されません。
また、この特例をうけるためには、確定申告書に所定の事項を記したうえで譲渡所得の内訳書(土地・建物用の確定申告書付表兼計算明細書)を添付して出さなければなりません。

1号買換えの適用条件について教えてください

 

1号買換えの譲渡資産の条件は次のようになっています。
「既成市街地等内にある事務所や工場、作業場、研究所、営業所、倉庫その他これらに類する福利厚生施設を除く施設およびその付属設備またはその敷地の用に供されている土地等で、その譲渡日の属する年の1月1日に所有期間が10年を超過するもの」
1号買換えの取得資産については、国内の既成市街地等以外の地域にある土地等や建物、構築物または機械装置という条件があり、アパートでも適用可能です。
買換えの特例は譲渡資産および取得資産の双方が事業の用に供するものである場合のみ適用可能ですが、この事業には事業に準ずるものも含みます。この事業に準ずるものとは、事業と称するほどでない不動産の貸付その他これに類する行為で、相当の対価を得て継続的におこなわれるものを指しています。これには譲渡や取得する本人自身の事業用だけではなく賃貸している土地や建物等も当てはまりますが、1号買換えはその賃貸している土地等が事務所または事業所として使用されることが条件となっています。また、事業用として使われても貸宅地や駐車場で利用するときには、建物の敷地には該当しないため適用は不可能です。

1号買換えの注意点について教えてください

 

1号買換えする際には、譲渡する資産の区域が既成市街地等の区域内にあるか、また購入する資産の区域が既成市街地等外にあるかどうかをチェックしなければなりません。このときに既成市街地外でも海外は含まず、既成市街地等内の市で一部の区域が対象となっているときには当該市当局への確認が必須です。
購入資産が土地等であるときには、原則的に購入する土地等の面積は譲渡した土地等の面積の5倍以内に制限されています。この5倍を超過した際には超えた部分は特例の対象にはなりませんが、一定の農地へ買い換えたときには10倍以内になることがあります。また、譲渡する資産は譲渡した日の属する年の1月1日に所有期間が10年を超過していなければなりません。購入日から譲渡日までが10年を超過するというわけではないので気を付けましょう。
購入する期間については、譲渡した年、譲渡した翌年中、譲渡した前年中に資産を購入しなければならず、事業の用に供する期間は、資産の購入日から1年以内に事業に使うことが条件です。購入してから1年以内に事業に使われなかったときには特例は適用されないので注意しましょう。また、この特例の適用期限は平成26年12月31日までとなっています。

Copyright(c) 2014 わが街・税金・不動産 All Rights Reserved.